【決算・開示コラム】[IFRS受け入れに関する課題と対策 (3)内部統制とITシステムへの影響]

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COLUMN 決算・開示コラム

2009/12/09

IFRS受け入れに関する課題と対策 (3)内部統制とITシステムへの影響

2008年7月、日本公認会計士協会は、2005年にIFRSを導入しているEUの実情を把握するため、英仏両国とブリュッセルの関係団体等を訪問している。日本公認会計士協会のEU視察において指摘されたIFRS導入の最大の課題は、IFRSの導入が単なる会計基準の変更とは異なり、連結グループ全体の会計方針の統一を含む内部統制やITシステム等の会社体制の見直しや整備を伴うということであった。IFRSは上場会社の連結財務諸表に適用されるので、連結グループとして統一した会計方針を決定する作業を含む内部統制等の見直しがスタートとなる。親会社を含む連結グループが採用している会計基準とIFRSとの整合性について検討し、例えば、為替予約レートの振当処理、売上計上基準、繰延税金資産の回収可能性、減価償却方針等、見直すべき会計方針を洗い出すことになる。その上で、統一した会計方針を連結グループの内部統制組織及びITシステムに反映させる作業が行われる。英仏の関係者からは、全社的プロジェクトを早期に立ち上げ、早めに整備を取り組むことが、IFRS導入の成功の鍵であるとの説明を受けたようである。
日本公認会計士協会は、我が国の監査事務所が、IFRSの任意適用を検討している会社からその受け入れ準備のために指導・助言が求められるので、上場会社の要請に応えて指導・助言できる体制整備が急がれるとしている。また、任意適用を考えていない会社においても、将来の強制適用を踏まえ、情報収集や研修を開始する会社も少なくないと想定されることから、監査事務所においても、被監査会社からの質問や相談に応じることができるように、IFRSデスクの創設を行っている。

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