【決算・開示コラム】[IFRS受け入れに関する課題と対策 (5)連結先行]

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COLUMN 決算・開示コラム

2009/12/09

IFRS受け入れに関する課題と対策 (5)連結先行

(1)会計基準の連単分離と連結先行

諸外国では、IFRSはディスクロージャー用の連結財務諸表に適用され、個別財務諸表では自国基準で作成されている。個別財務諸表では、配当や課税目的で作成されることから、自国基準では、会社法や税法に規定されており、ディスクロージャー向けのIFRSと自国基準は理念を異にしている。つまり、会計基準が完全に連単分離となっている。
我が国の連結財務諸表原則では、連結財務諸表は個別財務諸表を基礎に作成されなければならないという「個別財務諸表基準性の原則」が採用され、連単の会計基準は一貫した思想に基づき整合性が確保されていることを基本としている。我が国にIFRSが導入されるとしても、IFRSは上場会社の連結財務諸表にのみ適用されることから、一応、連結財務諸表と個別財務諸表の会計基準は連単分離となるが、中間報告案においては、IFRS受け入れ後においても我が国会計基準とIFRSのコンバージェンスは継続するという、いわゆる「連結先行」の方針が明らかになっている。

(2)連結財務諸表作成の方法

個別と連結の間の会計基準が完全に異なる諸外国の場合に、二重の帳簿を保持しているかという点については、企業の状況により一様ではない。(a)自国の会計基準または税務用の帳簿とIFRSの帳簿の2つを経常的に保持するケース、(b)帳簿は自国の会計基準で作成し、連結調整でIFRSに修正するケースなどがあるが、後者が一般的である。
海外に多くの子会社を有し国際的に事業活動を展開している上場企業にとって、IFRS導入の最大のメリットは業務管理体制の一元化である。このメリットを享受するためには、会計帳簿から連結財務諸表の作成までの内部統制を完全にIFRSベースで整備することになると考えられる。この場合には、IFRS基準で作成された個別財務諸表を自国基準による個別財務諸表に修正する作業が行われることになると考えられる。

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