【決算・開示コラム】[IFRS受け入れに関する課題と対策 (6)IFRS精通者の育成]

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COLUMN 決算・開示コラム

2009/12/09

IFRS受け入れに関する課題と対策 (6)IFRS精通者の育成

我が国におけるIFRS受け入れの最大の課題の一つは、企業、監査人、証券アナリスト、証券取引所、監督官庁、大学教育者等の広い分野において、IFRS精通者を育成することである。EUでは、国際的なネットワークを有する大手監査法人は、ネットワーク事務所間で教材を整備・共有し人材育成に取り組んでおり、一方、中小監査事務所については、教材作成のためのノウハウ蓄積やリソースの乏しいこともあり、会計士団体が中心となり研修や情報提供の充実等を通して精通者の育成に努めている。
我が国においても、大手監査法人は業務執行体制が整備されている上、国際ネットワークを通じ必要な教材や監査マニュアル等のノウハウが確保されることから、人材育成の面では不安はないが、中小監査事務所の会員の育成については、日本公認会計士協会が精力的に対応する必要がある。現在、日本公認会計士協会の会員(公認会計士等)は年間約40時間(3年間で120時間)の継続的専門研修(CPE)の受講義務が課せられているが、2009年度からは、IFRSの受け入れに備えてCPEの充実強化に取り組むとともに、公認会計士試験合格者を対象としている実務補修においても、今後、IFRSの研修科目を徐々に追加し、若手育成にも取り組むことを検討している。
また、日本公認会計士協会は、現在「会計教育財団」の設立に向けて準備を進めており、2009年度中には立ち上げたいと考えている。公認会計士試験合格者が3000人を超え、従来からすると2倍に激増した試験合格者に対する実務補修への対応や、今後増加する協会会員に対するCPE対応は、業界内での一事業として行う限界を超えてきているためである。会計教育財団構想は、こうした課題に対する対応策としての取組みである。また、IFRS精通者の育成も会計士業界にとって大きな課題であり、当財団は、IFRS関連科目の研修の充実を図り、IFRS精通者の養成機関としての役割を担うことにもなる。
なお、当財団は、当面は、試験合格者や会員を対象とした会計教育財団として発足するが、将来的には、民間企業等における会計専門家の研修機関としての役割も念頭においている。関係者の理解と協力を仰ぎながら、目下、会計教育財団の設立に向けて取り組んでいるところである。

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