【決算・開示コラム】[いまさら聞けない「敵対的買収防衛策」 (1) 買収防衛策とは何か?  (武田雄治)]

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COLUMN 決算・開示コラム

2005/05/03

いまさら聞けない「敵対的買収防衛策」 (1) 買収防衛策とは何か?  (武田雄治)

最近、連日のように「敵対的買収防衛策」関連の記事が新聞紙面を飾っているが、いったい「敵対的買収防衛策」とは何なのでしょうか?

■敵対的買収防衛策とは
敵対的買収とは、ライブドアのニッポン放送株取得のように、経営陣に打診もなく、突然株式を買い占めることをいいます。このような、敵対的買収を防ぐための手段のことを買収防衛策といい、主なものとして次のようなものがあります。

■主な敵対的買収策
1.ポイズンピル(毒薬条項)
 新株発行で買収者の出資比率を下げること
2.ゴールデンパラシュート
 買収で役員が解任されると、解任された役員に多額の退職金を出すこと
3.ホワイトナイト(白馬の騎士)
 自社に好都合な会社に買収を頼むこと
4.クラウンジュエル
重要な事業や資産を別の会社に売却すること

ニッポン放送がフジテレビに新株予約権を発行し、ライブドアの出資比率を下げようとした行為は、「ポイズンピル」にあたります。ニッポン放送の子会社ポニーキャニオンを売却し、ニッポン放送の価値を下げようとした行為は「クラウンジュエル」、ソフトバンクインベストメント(SBI)に自社の株式を貸し付けたことは「ホワイトナイト」に該当します。
ニッポン放送やフジテレビはあの手この手を使って、ライブドアからの敵対的買収を防衛したわけです。

■なぜ、この敵対的防衛策が今議論されているのか?
それは、安易な防衛策(例えば経営者の保身のための防衛策)は、投資家の不利益になる恐れがあるためです。
また、今回のライブドアによる敵対的買収で、法やルールの不備が明らかになったため、早急に改善しようとしているのです。

■では、「防衛策」を誰が検討しているのか?
実は、自民党、経済産業省、東証など、いろいろな所が検討しています。いろいろな所が検討し、その都度新聞で報道されますので、毎日いろいろな防衛策に関する記事が出るわけです。

《敵対的買収防衛策の主な検討主体、検討状況》

(1) 自民党の企業統治委員会
 総合的な対抗策を検討中。6月にも中間報告。

(2) 経済産業省の企業価値研究会(座長、神田秀樹東大教授)
 合理的な防衛策の指針を検討中。
 4月22日に報告書を公表
5月に法務省と共同で指針を公表予定

(3) 法務省
 5月に防衛策の開示ルールを整備
 2006年施行予定の会社法で黄金株などの種類株や新株予約権の制度を整備

(4) 金融庁
 自民党の企業統治委員会の報告を受け、買収ルールの整備を再検討する見通し

(5) 東京証券取引所
 4月21日に上場企業に対し、「敵対的買収防衛策の導入に際しての投資者保護上の留意事項について」を配布。

それぞれの、具体的な内容については、明日以降のこのBlogで紹介していきます。

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