【決算・開示コラム】[監査法人を徹底的に理解する]

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COLUMN 決算・開示コラム

2012/09/24

監査法人を徹底的に理解する

先日、弊社アガットコンサルティングとアルテ監査法人とコラボしまして、「監査法人を徹底的に理解する」というちょっと変わったセミナーを開催致しました。

上場企業は必ず会計監査を受けなければならず、上場企業経理担当者は監査対応をしなければなりません。しかし、上場企業経理担当者が「監査(論)」について勉強する機会がほとんどありません。会計監査を受ける立場の皆様は、会計監査人が会議室で何をやっているのかよく分かっていないと思います。

そこで今回、会計監査の制度、必要性、限界、監査手続、リスクアプローチの考え方、重要性の概念などの会計監査の基礎知識や、監査法人の社内体制・審査体制などを徹底して理解して頂くと共に、

 ●監査対応を変えれば、監査を効率化できる!
 ●監査を効率化できれば、決算は早期化できる!

ということを学んでもらうことを趣旨としたセミナーを実施しました。

私も監査を受ける立場を経験したことがありますが、監査に対して「受け身」になっていたら、監査対応は非常に鬱陶しいものに感じると思います。セミナーの来場者の中から、「いつも同じような質問ばかりしてくる」「過剰とも思えるエビデンスを求められる」といったコメントも頂きました。「監査の工数稼ぎをしていると疑ってしまう」というようなコメントも頂きました。

ただ、皆様が監査の対応を少し変えるだけで、監査の質問は減ると思いますし、もしかしたら監査の工数を減らすことができるかもしれません。

例えば、会計監査の監査手続に「分析的手続」というものがあります。会計監査は「突合」などの監査手続も行いますが、「分析的手続」を徹底して行なっています。簡単にいえば、財務分析を徹底して行なっているのです。

分析と突合の関係については、こちらをご参照ください。

決算早期化のポイントは 「分析>突合」

上記リンク先に、私は、「決算早期化が達成できない会社になればなるほど、財務分析を行わず、突合を一生懸命やっているという傾向がある」と書きました。
同様に、監査の工数が同規模・同業種よりも極端に大きい会社は、財務分析を行なっていないか、財務分析を行なっていても文書化されていないと思います。そのため、監査人が会議室でイチから財務分析を行い、大きな変動や異常な変動があれば経理担当者へ質問したり、エビデンスを求めたりするのです。他方で、決算早期化を達成している会社(=月内開示をしているような会社)は、予め財務分析を経理担当者で行い、分析結果が文書化されたものが監査資料として提出されることが多いと思います。これだけのことでも、監査の工数は大きく変わると思われます。

また、決算早期化を目指すのであれば、監査の対応も変えなければなりません。決算発表が決算日後45日前後という会社でも、会社の単体決算・連結決算・開示資料作成は決算日後30日以内に終わっているという会社は結構あります。これでなぜ月内開示ができないかというと、監査が終わらないからです。「監査法人の仕事が遅いから仕方がない」と思ってはいけません。監査が終わらない理由が皆様側にもあるのだと思われます。決算早期化を達成させるためには、監査の工数を減らす努力のみならず、監査を前倒しで実施してもらえるような努力も必要になります。(その方法については、拙著「決算早期化の実務マニュアル」をご参照下さい)

このように、会計監査のことを少し知るだけで、皆様の決算実務の負担を軽減できる可能性が高いのです。

今回のセミナーは我々の予想以上に好評を頂きましたので、又の機会にこのようなセミナーを開催したいと思います。

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