金融庁は26日、、新たな監査基準である 「不正対応基準」(仮称)を策定するかどうかを検討している企業会計審議会監査部会の議事次第を公表しました。
[金融庁]企業会計審議会第29回監査部会 議事次第
オリンパスの粉飾決算事件を受けて「不正対応基準」(仮称)策定が議論されたわけですが、1社の不正を受けて、ここまでやる必要があるのでしょうか。そもそも、オリンパスの粉飾決算事件については、金融庁は監査法人の監査に問題なしと判断したのでは?
監査がどんどん細則主義になっていきますね。細則化しても未然に防ぐことができる不正は限られると思います。むしろ、監査の細則化、形式化により監査の実効性は低下するのではないでしょうか。その上、監査の工数は増えるでしょうし、監査のなり手は減るかもしれませんし、監査論の学者以外、誰がHAPPYになるのだろう・・・と疑問です。
▼不正に対応した監査の基準の考え方(案)一部抜粋
(3)不正リスクに対応した監査の実施等 ④?【企業が想定しない要素の組み込み】?監査人は、不正リスクが識別された監査要点に関して、抜き打ちの監査手続の実施、往査先や監査実施時期の変更等、企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことを検討しなければならない。
⑯?【不正の端緒を発見した場合の意見の表明】?監査人は、不正の端緒を発見した場合には、当該不正の端緒に係る監査人の対応について、監査事務所の方針と手続にしたがって、本部の適切な者による承認が得られるまでは意見の表明をしてはならない。
(4)不正リスクに対応した監査事務所の品質管理等 ⑨?【監査事務所内監査人間の引継】?監査事務所は、監査事務所内における監査実施者交代時の引継に関する方針及び手続を定め、不正リスクに係る有効な引継が行われるように方針及び手続を整備しなければならない。 監査事務所は、監査実施者交代時の引継が適切に行われたか否かについてモニタリングを行わなければならない。
⑩?【監査事務所間の引継】?監査事務所は、監査事務所交代時においては、不正リスクに係る有効な引継が行われるように方針及び手続を定めなければならない。前任の監査事務所の監査人は、後任の監査事務所の監査人に対して不正の疑いがあった項目、企業と争点になった項目等を伝達するとともに、後任の監査事務所から要請のあったそれらに関連する調書の閲覧に応じなければならない。 また、後任の監査事務所の監査人は、前任の監査事務所の監査人から監査事務所が交代するに至った経緯、問題事項の有無や問題事項に係る見解等の詳細な説明の聴取を行わなければならない。 監査事務所は、監査事務所交代時の引継が適切に行われたか否かについてモニタリングを行わなければならない。
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