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2012/09/28
会計監査の受け入れ方
先日開催しました「監査法人を徹底的に理解する」というセミナーにおいて、来場者の関心が最も高かった話は「監査報酬」に関する話題でした。セミナー後の質疑応答の時間においても、「監査報酬はどうやって決まっているのか」「監査報酬を引き下げるコツのようなものはあるのか」「監査の工数を詳細に開示してもらうことはできるのか」といった監査報酬に関する質問が相次ぎました。多くの方が、「監査法人を引き下げたい!」と思っているようです。 公認会計士の端くれとしては、このような質問が相次ぐことは、少し心苦しくもあります。 ●会計監査の必要性をまだまだ理解してもらえていないのではないか ・・・と。 監査報酬は、どこの監査法人も「単価」?「工数」で見積もっていると思います。「単価」はどこの監査法人もほぼ同じレートだと思いますので、「工数」により見積額が変わると思います (ただ、実際は「単価」?「工数」で合理的に見積もっても、ここから大幅なディスカウントを行なっていると思いますので、ディスカウントの大小が監査報酬の高い・安いを決めているのかもしれません・・・。そろそろ牛丼店戦争のようなことは止めたらどうかと思いますが・・・)。 監査報酬は合理的に見積もっていると思いますし、そうであるという前提でお話しすると、監査報酬を引き下げるには監査の「工数」を引き下げるしかありません。だからといって、監査法人に「来年の監査の工数を2割減らして下さい」なんて言っても、減らしてもらえるはずがありません。しかし、皆様方の「会計監査の受け入れ方」を少し見直すことにより、監査工数を引き下げることは可能だと考えております。 拙著「決算早期化の実務マニュアル」(中央経済社)に、決算早期化を実現している会社と、決算早期化を達成できない会社の監査スケジュールを掲載しています(いずれも実際の上場企業のスケジュールです)。決算を翌月月内に発表している会社は、会計監査(期末監査)をだいたい15営業日位で終わらせています。他方、決算早期化を達成できない会社の場合、会計監査はだいたい20~30営業日を要しています。決算発表が遅い会社の方が会計監査の日数は長いのです。仮に決算発表が遅い会社にアサインする監査人を倍増させれば、監査日程を半減できるかというと、そんなことは絶対に有り得ないと思います。つまり、会計監査の日数が長いのは、会社側にもそれなりの理由があるということです。 監査をする側から言えば、「監査がしやすい会社」と「監査がしにくい会社」というものがあります。 私としましては、まず会計監査の必要性を皆様にきちんと理解して欲しいと思っています。売上が兆を超える大手メーカーの会計監査がなぜ15営業日で終わるのか。なぜ、皆様の会社の会計監査がそれ以上に時間がかかるのか。監査を受ける側として、皆様の会社は「監査がしやすい会社」なのか、「監査がしにくい会社」なのか。 弊社アガットコンサルティングが決算早期化コンサルティングを行なったクライアントの中には、拙著「決算早期化の実務マニュアル」(中央経済社)に書いているとおりの「仕組み」を取り入れたことにより、監査工数が大幅に減り、監査法人側から監査報酬を引き下げてくれた会社もあります。理想的な早期化事例であり、理想的な監査報酬の減額事例です。 監査報酬の減額交渉の前に「会計監査の受け入れ方」に問題がないかどうか見つめ直して欲しいと思います。 |
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公認会計士 武田 雄治