【決算・開示コラム】[決算早期化のポイントは 「分析>突合」]

財務、会計に関わる方々に向けた情報ポータルサイト

  1. CFO LIBRARY ホーム
  2. 決算・開示コラム
  3. 決算早期化のポイントは 「分析>突合」

COLUMN 決算・開示コラム

2012/10/16

決算早期化のポイントは 「分析>突合」

今回のエントリーは以前も書いた内容ですが、昨日【財務分析】に関するエントリーをしましたので、その関連記事として再掲します。

私が決算早期化セミナーの講師をする際に、「分析>突合」という話をしています。

突合(帳票とそのエビデンスを突き合わせること)を一生懸命やるよりも、財務分析を一生懸命やる方が、圧倒的に決算の適正性が確保されるということです。

試算表が正しいかどうかを検証する方法は、究極的には以下の2つあります。

(1)伝票1枚1枚の正確性を検証し、すべての伝票が正しいことをもって、全体の試算表が正しいことを確かめる方法
(2)財務分析(特に趨勢分析)を徹底して行い、異常な変動がないことを確かめることによって、全体の試算表が正しいことを確かめる方法

そして、どちらの方法が精度が高いかといえば、(2)の方法だと断言できます。
(1)の方法だと、どれだけ慎重かつ丁寧に作業を行なっても帳票等に網羅性が確保されていなければ、たちまち全体の正確性が確保されません。
実際に、会計監査も(2)の手法で実施してます。

これが決算早期化と何の関係があるのかといえば、これまで決算早期化コンサルティングを7年間実施してきた経験から、決算早期化が達成できない会社になればなるほど、財務分析を行わず、突合を一生懸命やっているという傾向があるのです。逆に決算早期化が達成されている会社になればなるほど、突合よりも財務分析を一生懸命やっているという傾向があります

これまで財務分析を十分に実施していない会社に対して、「財務分析を行いましょう!」というと、決算担当者から「作業がさらに増えるじゃないか!」と反発を食らうこともあります。しかし、会計監査が、(2)の手法を採用しているように、限られた時間で効果的な検証を行うには、(2)の手法を採用するしかないと考えてます。

弊社アガットコンサルティングのあるクライアントは、拙著「決算早期化の実務マニュアル」第5章にも書きました分析ツール(リードシート)を導入し、財務分析を徹底して行い、決算早期化のための仕組みを作ったところ、決算工数が激減しました。担当者からは「なんでこんなに決算が早期化できるのか、今でも不思議です!」「目からウロコの手法です!」と大喜びして頂いております。分析結果をドキュメントしたことにより、監査法人からの質問も激減したようです。

今後、IFRSが導入されると、決算の工数は確実に増えると思います。
IFRSプロジェクト自体は止まっている会社もあるようですが、決算資料の見直しや、財務分析の実施など、今の段階から出来ることをコツコツとされることをオススメ致します。

写真 (27)
(武田雄治著「決算早期化の実務マニュアル」P176より)

【決算早期化に関するエントリー】
2012/10/15?決算早期化と財務分析
2012/10/12?監査人の指導的機能の発揮による決算早期化と監査効率化(2)
2012/10/11?監査人の指導的機能の発揮による決算早期化と監査効率化
2012/9/11?決算早期化と子会社への指導力
2012/9/6?決算早期化と連結パッケージ ~続き~
2012/9/5?決算早期化と連結パッケージ
2012/9/4?決算早期化とパーキンソンの法則
2012/9/3?決算早期化と決算スケジュールの予実分析
2012/9/2?決算早期化へのコミットメントはあるか!?

▼決算早期化に関するご相談はアガットコンサルティングまで
アガットコンサルティング

 

武田雄治ブログ

公認会計士 武田 雄治

コラムカテゴリ一覧