【決算・開示コラム】[新日本監査法人 3期連続の減収]

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COLUMN 決算・開示コラム

2012/09/12

新日本監査法人 3期連続の減収

新日本有限責任監査法人は11日、2012年6月期(第13期)の決算を公表しました。

第13期 業務及び財産の状況に関する説明書類

■P/Lの概況(過去4期比較)

業務収入 1043億円 → 984億円 → 959億円 → 929億円
業務費用 1061億円 → 957億円 → 918億円 → 909億円
営業損益  ▲17億円 → 26億円 → 41億円 → 20億円
経常損益  ▲13億円 → 30億円 → 47億円 → 26億円
税引前当期純損益 ▲14億円 →12億円 → 22億円 → 26億円
当期純損益  ▲16億円 → 2.9億円 →18億円 → 5億円

減収減益となりました。

業務収入(売上高)は、2009年6月期の1043億円をピークに3年連続減収。上場企業数が年々減少している影響からか、クライアント数も減少しているようです。監査証明業務のクライアント数は前期4076社→当期3960社と、前年比▲116社減少。

なお、私の知りうる範囲で、新日本の売上高の推移は以下のとおり。

■新日本の売上高(業務収入)の推移

2000年6月期  200億円
2001年6月期  539億円 ←太田昭和とセンチュリーの合併
——————————-
2006年6月期  494億円
2007年6月期  658億円(33%増)
2008年6月期  988億円(50%増) ←旧みすず解散
2009年6月期  1043億円(6%増

従業員数は横バイでした。

■従業員数の推移

6451人 → 6439人(前年比▲12人)→ 5822人(▲617人) → 5825人(+3人)

横バイといえど、大手が採用を控えるわけにはいかないでしょうから大量に新人を採用しています。採用数と同じ数だけ退職者・リストラ者がいたということだと思われます。

多くの上場企業経理担当者から「会計監査の現場にくる“新人”が多すぎる!」という声を聞きます。ある東証一部上場企業では、10人の監査チームのうち7人が公認会計士試験合格者(会計士補)だといいます。監査の品質は大丈夫なんでしょうか。

新日本のデータから単純計算すると、現場の約4割が公認会計士試験合格者・監査補助職員ということになります。

新人(*1)÷現場の会計士(*2)=1846人/4283人=43%

(*1) 新人=公認会計士試験合格者1412人+監査補助職員434人
(*2)現場の会計士=(*1)1846人+社員以外の公認会計士2437人

■人件費の推移

報酬給与 560億円 → 498億円 → 484億円 → 457億円
賞与  98億円 → 82億円 → 95億円 → 96億円
退職給付費用 11億円 → 17億円 → 13億円 → 11億円
社員退職引当金繰入 46億円 → 51億円 → 26億円 → 36億円

1人あたりの賞与は、売上高がピークだった3期前より増えてますね。

■その他経費の推移

通信費  9億円 → 5億円 → 1.3億円 → 1.2億円
消耗品費 12億円 → 4億円 → 3.2億円 → 3.5億円

コスト削減はもう限界のようです。

それ以上に監査法人の経営陣のモチベーションが限界かもしれませんね。年収も退職金もかなりカットされていると思いますし。

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公認会計士 武田 雄治

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