【決算・開示コラム】[被監査企業の取引先への確認状に、取引先企業の監査人による署名を求める!?/企業会計審議会監査部会]

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COLUMN 決算・開示コラム

2012/10/19

被監査企業の取引先への確認状に、取引先企業の監査人による署名を求める!?/企業会計審議会監査部会

金融庁は18日、、新たな監査基準である「不正に対応した監査の基準の考え方(案)」を策定するかどうかを検討している企業会計審議会監査部会を開催しました。

配布資料はこちらからダウンロードできます。

「被監査企業の取引先の監査人との連携(監査人間の連携)」の基準化が議論されたようです。

「監査人間の連携」は、具体的に、次の2つの方法が挙がっています。

【スキーム1】
被監査企業の取引先への確認状に、取引先企業の監査人による署名を求める。
【スキーム2】
取引先企業の監査人が、取引先を調査する。

直感的に「有り得ない」と思いました。

同日、日本公認会計士協会は、この「監査人間の連携」案に対して意見書を提出・公表しました。
この「監査人間の連携」案について、

「財務諸表監査の枠組みを超える可能性が高く、極めて大きな問題である」
「期待される効果よりも弊害の方が大きい」

などとコメントしています。

それにしても、オリンパス1社の不正を受けて、こんなことを議論する必要があるのでしょうか。企業や監査人に過度な負担を負わせるだけで、監査の実効性が高まるとは思えません。

日本公認会計士協会の意見書にも

「多くの企業は、不正事件を起こすことなく、誠実・適切に事業を行っており、監査体制の強化が、このような企業に無用・過大な負担を負わせるようになることは避けなければなりません。不正な財務報告を意図した悪意が認められるケースにおいては改正の効果が期待できるとしても、他の多くの善意の企業や監査人に過度な負担をもたらすという結果は避けなければなりません。」

とあります。

▼監査人間の連携(金融庁HPより抜粋)
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公認会計士 武田 雄治

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