【決算・開示コラム】[中小企業金融円滑化法の期限到来後に金融機関の対応はどうなるのか?]

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COLUMN 決算・開示コラム

2012/11/12

中小企業金融円滑化法の期限到来後に金融機関の対応はどうなるのか?

中小企業金融円滑化法(「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」)が来年(2013年)3月末で期限切れとなります。

円滑化法期限到来後に金融機関の対応はどうなるのかが非常に気になるところですが、これについて、中塚金融担当大臣の談話が公表されています。

[金融庁]中塚金融担当大臣談話-中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等について-(平成24年11月1日)

円滑化法期限到来後の「金融機関の役割」について

金融機関が、個々の借り手の状況をきめ細かく把握し、他の金融機関と連携を図りながら、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わるものではありません

としています。

中小企業金融円滑化法とは、中小企業から貸出条件の変更(リスケ)の申込があった場合、金融機関はそれを認めるように「努力しなさい」という法律でした。「努力しなさい」ですから、必ずしも認めなくても良いわけですが、実際の「実行率」は97.4%でした(*1)。つまり、リスケの申込をすれば、ほぼ確実に認めてもらえていました。

円滑化法期限到来後も、金融庁は「貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべき」という方針のようです。

最近、【中小企業金融円滑化法の出口戦略】というコトバを聞くようになりました。円滑化法期限到来後は、元本返済が再開されり、貸し渋り・貸し剥がしが生じたりして、資金繰りに逼迫する企業が数万社、数十万社と出てくるのではないかとも言われています。

しかし、上の文章を読む限りにおいて、金融庁は、円滑化法期限到来後に大きな混乱が生じないよう、金融機関へ大きな方針変更を行わないように促していくものと思われます。

借り手が抱える経営課題は様々であり、また、そうした課題の解決には相応の時間がかかることは十分認識しています。借り手が引き続き課題の解決に向けて努力していくことは重要ですが、全ての借り手に対して来年3月末までに何らかの最終的な解決を求めるというものではありません

とも書かれています。

だからといって安心していてはいけません。

金融検査マニュアルの「債権者区分」については、

金融検査マニュアル等で措置されている、中小企業向け融資に当たり貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件(*2)は恒久措置であり、円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません。

と書かれており円滑化法期限到来後に、リスケした債権のすべてが「要管理先」、「不良債権」となるという取り扱いにはなるわけではないと読み取れますが、一定の要件を充たさなければ「要管理先」以下に区分され、「不良債権」として処理されることになるということになります。

よって、「経営改善計画」を作成していない企業や、作成していても計画通りに改善できていない企業などは、、十分に気を付けなければならないと思います。金融機関といえどもほとんどが営利企業ですから、このような企業に対しては厳しい対応が迫れれるのではないかと思います。

「経営改善計画」の作成や、資金調達のご相談は、黒字社長塾までお気軽にどうぞ。

(*1)「実行率」=「実行件数÷(実行件数+拒絶件数)」(平成24年7月19日、金融庁発表)
(*2)「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」や「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」は、不良債権に該当しません。

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