【決算・開示コラム】[【国税庁】「令和5年度 査察の概要」を公表]

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COLUMN 決算・開示コラム

2024/06/28

【国税庁】「令和5年度 査察の概要」を公表

公認会計士・税理士の畑中数正です。

21日、国税庁が全国の国税局の査察部が令和5年度に摘発した悪
質な脱税案件の概要を公開しました。

「査察の概要」によると、令和5年度で検察庁に告発した査察事
案101件に係る脱税額の総額は約89億円で、1件当たりの脱税額
は88百万円とのこと。

令和5年度に検察庁に告発した101件の税目別の内訳では、法人税
59件、消費税27件、所得税14件、相続税1件でした。なお、
告発が多かった業種には、不動産業、建設業などが挙げられてい
ます。

実際に告発した事例の中からトピックとなる事案について脱税の
手口などが紹介されています。

 

【告発事例】

■消費税事案

  • 同一の高級腕時計のシリアルナンバーや不正に入手したパ
    スポートの写しを用いて書類を偽造し、架空の課税仕入れ及
    び架空の輸出免税売上を計上することで、不正に消費税の還
    付を受け、又は受けようとした。
  • 輸出物品販売場の許可を受けたコンビエンスストアにおい
    て、虚偽のパスポート情報を用いて免税商品を販売したと装
    い、架空の輸出免税売上を計上することで、不正に消費税の
    還付を受け、又は受けようとした。など

 

■無申告事案

  • アフィリエイト事業により収入を得ていたにもかかわらず、
    虚偽のコンサルティング契約書を準備するなどして所得を
    隠匿した上で、法人税の確定申告書を提出しないまま法定納
    期限を徒過させ、法人税を免れていた。
  • タトゥースタジオを経営するとともに、自らタトゥーの施術
    を行うことで収入を得ていたにもかかわらず、知人や親族名
    義の預金口座を使用して所得を隠匿した上で、所得税の確定
    申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免
    れていた。など

 

■国際事案

  • 虚偽の株式譲渡契約書を作成して、自己が所有する未公開株
    式を自らが主宰する海外法人へ譲渡したと装い、未公開株式
    の譲渡収入の一部を海外法人の収入であるとして、所得税を
    免れていた。
  • 実質経営する法人において、架空の経費を計上することで、
    法人税及び消費税を免れ、得た資金の大半を海外における生
    活費やギャンブルに充てていた。

 

■その他の社会的波及効果の高い事案

  • 脱税請負人が、脱税のために虚偽の経費を計上するスキーム
    を節税とうたって、広く納税者を勧誘し、納税者らが当該ス
    キームを利用して法人税及び消費税を免れていた。
  • インターネット上の物品の転売やそのノウハウの指南を業
    とする者が、架空の経費の計上や売上を除外することで、自
    身の所得税及び主宰法人の法人税を免れていた。など

国税局査察部は通称「マルサ」と呼ばれており、税務調査の中で
も大口で悪質な案件を扱う部署です。

査察調査の意義や査察調査の流れが記載されているパンプレット
「国税査察制度~脱税は、犯罪。~」が国税庁ホームページに掲
載されていますので、こちらも併せてご参考ください。

 

 

▼詳細は下記の国税庁ウェブサイトをご覧ください。

・令和5年度査察の概要(PDF)https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sasatsu/r05_sasatsu.pdf

・パンフレット「国税査察制度~脱税は、犯罪。~」(令和6年6月)(PDF)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/01.pdf

 

公認会計士・税理士

畑中数正

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